エピソードから潜在能力を測る方法とは

エピソードを深堀するポイント

次にエピソードを深堀する際、どのような点に着目して聞けば良いのでしょうか。例えば、候補者が「私は○○の問題に対して△△の解決策をしたところ、□□の成果をあげました」という三段論法で話をしたとします。この時に重要な点は、「なぜその問題を解決しようと思ったのか」という部分です。どんな問題を解決したかは注目する必要がありません。同様に解決策の部分でも、「なぜその解決策を取ったのか」がポイントです。最後の成果自体も、売上が2倍になったという情報は必要ありません。大切なことは、成果を出すまでの間に解決策をどう試行錯誤して最後の成果まで導いたのかということです。

例えば、「焼肉屋で働いていて、お客さんが増えなかったのでビラをまきました。その結果売上が1.2倍になりました」とエピソードを語る学生がいたとします。この時にまず深堀するべき点は、そもそもどんな焼肉屋だったのかです。100席くらいの巨大店舗なのか10席くらいの小さな個人営業店なのか、路面店なのか2階にあるのか、などの環境を見ることです。なぜなら、エピソードの主人公にフォーカスしたとしても、それがどのような環境で行われているのかが分からなければ、そのエピソード自体の評価ができないからです。環境を聞くことによって、候補者が取り組んだ問題に対して優先順位が適切であったか評価をすることができます。

次に深堀すべき点は「お客さんが増えなかったからビラをまいた」ではなく、そもそもなぜお客さんが来なかったのか原因分析することです。例えば、学生街なのにランチメニューが1500円と高めであったとします。その理由は仕入れを普通のスーパーで行っているから。ではなぜ普通のスーパーで仕入れをしているのか。それは営業時間が○時~△時までのため、店が開いていないからだ。となった際の解決策はビラをまくことではなく、営業時間を1時間早めることかもしれません。このように“why”を繰り返すことによって問題の真因を発見することができます。

その次に考慮すべき点は解決案を出す際に「拡散」から「収束」のプロセスを踏めているかどうかです。なにか問題が発生した際の解決策は当然1つではありません。その時にまず、解決案としてAやB、Cといったアイディアを拡散させます。そして次に、スピードやコストを考慮した上で1つのアイディアに収束していきます。このような課題に対する解決案のプロセスが踏めているかどうか確認することが重要です。

そして最後にどのような壁やトラブルを乗り越えて正解に結びついたのか。いわゆるplan-do-check-actのPDCAサイクルが回せたのかを聞く必要があります。これの良い部分は、顕在化した情報は、自ら主体的に取り組まなかったとしても話すことができます。しかし、自ら取り組まなかった解決策については、その人が主体的でなければ答えることができません。つまり、フリーライダーは答えられないのです。

以上述べた点に注意してエピソードを聞くことで、候補者の潜在能力を測ることができます。

3行まとめ

ポテンシャル採用をする際は、候補者の習慣を得ることになった「歴史」(生育史)を聞くことが重要。
エピソードを聞く際は、長期的に繰り返し経験したこと・嫌なこと・試行錯誤したこと・変化の4つを聞くことが大切。
エピソードを深堀する際は、成果を出すまでの間に解決策をどう試行錯誤して最後の成果まで導いたかに注目。

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人事採用・組織化研究所

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投稿者プロフィール

【監修】曽和 利光
株式会社人材研究所 代表取締役

■略歴--------------------------------------
1995年
京都大学教育学部教育心理学科卒業後、株式会社リクルート入社、人事部配属人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャー等を経験
2009年
ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスで人事部門責任者
2011年
株式会社人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)設立代表取締役社長に就任、現在に至る

■お問い合わせ---------------------------
組織人事、人材育成、組織開発などに関するご相談は、人材研究所までご一報ください。
株式会社 人材研究所

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