キャリアの基本とトランジション(転機)

人材フロー戦略における優先順位

様々な人材フローを考えるにあたって、その優先順位づけは「コントロールしにくい部分から」が鉄則です。そして、日本では解雇規制があることと、”人を切ることへの抵抗”という文化によって、退職は非常に難しい問題となっています。しかし、人材フローを考える際には出口から、つまり退職から考えるということが基本でなのです。

次にコントロールしにくいのは、外部との接点を持つ採用です。つまり人材フローは、退職→採用と考えていき、最後に昇進や評価、育成などを考えていくのです。昇進や評価、育成などは後からどうにでもなる部分です。なのでコントロールしがたい、制約条件の多いところから考えて設計する必要があります。しかし、往々にして多くの会社の人事は、一番手が付けやすいところから考えてしまいがちです。

このような前提があれば、新卒採用条件はプログラマーに必要なロジカルシンキングが強い人、といった一点に絞ることができます。採用の基本は「裾野を広げる」ということです。狭い範囲では良い人材を採用しにくいため、MUST条件は少ないほうがよいのです。プログラマーの例を用いれば、お客様の業務フローを設計できるコンセプシャルスキルが必要、などといったことは見る必要がなくなります。

このように人材フロー戦略の確立によって、おのずと採用方針も決まってきます。そして採用後の配置や異動、社内教育なども決まってくるのです。

トランジションと悲しみの5段階

ここでキャリア開発の基本として知っておくとよい大前提があります。
それは、キャリアとはトランジション(人生の転機)であり、トランジションには悲しみが付随する、ということです。大卒就職であれば、大学生活の終わりがあり、次の新しい時期が始まります。新しい始まりの方にばかり目がいきがちですが、”終わり”にも目を向けなくてはなりません。そして”終わり”には悲しみが付随します。就職や転職というのはおめでたいこととして語られますが、基本的には悲しみが伴うものである、ということを念頭に置いておくべきでしょう。

末期患者のケアを行い、多くの人の死を看取った精神科医エリザベス・キューブラー・ロスは、悲しみを5段階で説明しています。
まず一つ目のステップは否定から入ります。「いや、そんなことはないだろう」「何かの間違いだろう」と自分の中で否定するのです。ところがどうも本当らしい、ということになると「なんでこんなことになったんだ」「誰のせいだ」と怒りのステップがやってきます。しかし怒っても事態は好転しないので、次に現れるものが、「なんとかならないのか」という取引のステップです。色々やってみた、考えてみたけどダメそうだと気付くと「もう望みはない」「希望は消えた」といった絶望のプロセスがやってきます。ここで絶望を超えた先の最終ステップが、悲しみを受け入れた受容です。

人は悲しみに直面しても、否定、怒り、取引とステップを踏み、絶望を超えればその現実を受け入れて前に進むことができます。この悲しみとは死に関するような大きいものだけではなく、リストラされた、試験不合格、失恋、離婚など一般的な生活の範疇に存在する悲しみでも同様です。つまりマネジメントする側が、部下に「減給をする」というような話をするときにも、この5段階を経るのだということを分かっていれば、どのように対処していくべきかということが分かるでしょう。

3行まとめ

can、must、willの順番で。
転機には必ず悲しみが付随する。
悲しみを乗り越えるには、否定、怒り、取引、絶望、受容、という5段階を経る。

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人事採用・組織化研究所

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投稿者プロフィール

【監修】曽和 利光
株式会社人材研究所 代表取締役

■略歴--------------------------------------
1995年
京都大学教育学部教育心理学科卒業後、株式会社リクルート入社、人事部配属人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャー等を経験
2009年
ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスで人事部門責任者
2011年
株式会社人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)設立代表取締役社長に就任、現在に至る

■お問い合わせ---------------------------
組織人事、人材育成、組織開発などに関するご相談は、人材研究所までご一報ください。
株式会社 人材研究所

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