何に対して一貫性を持つのか

評価・HRM・会社と個人による一貫性

次に評価・報酬の方法でも、安定成長型の場合は数値目標を事前に定義することが容易にできます。つまり、最初に設定した数値に合わせて評価・報酬を決定することに適しています。しかし、新規事業型のように何か新しいものを作る場合は目標を事前に定義することが困難です。そのため質的目標やプロセス目標を決定することが適しています。

また報酬の決定方法ですが、安定事業型では組織的報酬(役職、地位など)を報酬として活用することができます。一方、新規事業型では非組織的な報酬(金銭、自由裁量など)を考える必要があります。

HRMの項目では、人材フローの観点から長期行動を重視するのか、独立を支援するのか。人材調達の観点から組織内で育成するのか、必要時に調達するのか。人材配置はゼネラリスト志向なのかスペシャリスト志向なのか。以上の項目に注意して方向性を決定する必要があります。

最後は会社と個人の関係に関することです。安定成長型は会社と個人の関係が、運命共同体で一体感を持つことを醸成する方向にアライメントすることが重要です。これによって社内の雰囲気・モチベーションが上昇するので、個人の帰属意識が職場に対して向きます。これは長期雇用を重視する安定型の企業に適しています。

これに対して新規事業型は契約関係でモチベーションを考慮せず、Give&Takeの感覚でドライに雇用能力を保証することが重要です。これによって個人の帰属意識が仕事に向きます。これは独立を支援している新規型に合っています。

除々に企業の方向性を定める

以上のように、2つの型の項目ごとに適している行動や考え方があります。この項目を、例えば安定成長型であれば、それに適した方に一貫させることが大切です。しかし、ベンチャー企業では「この項目では左側だけど、この項目は右側だ」といった形で一貫性がないことがほとんどです。当然のことながら、はじめから理想的な組織は存在しません。そのため、「事業は右側だが、組織行動は右側だ」という企業だとしても、項目ごとに一貫性が取れていれば、成果は上がる可能性が高いです。したがって、それらを除々にアライメントし、方向を定めることが今後の人材マネジメントポリシーを決定する上で重要です。

3行まとめ

企業の型(安定型か新規型か)によって、行動や考え方が決定される。
5つの項目(事業・組織・評価・HRM・会社と個人)ごとに、一貫性を持つ必要がある。
除々に企業の方向性を定めていくことが重要です。

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人事採用・組織化研究所

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投稿者プロフィール

【監修】曽和 利光
株式会社人材研究所 代表取締役

■略歴--------------------------------------
1995年
京都大学教育学部教育心理学科卒業後、株式会社リクルート入社、人事部配属人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャー等を経験
2009年
ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスで人事部門責任者
2011年
株式会社人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)設立代表取締役社長に就任、現在に至る

■お問い合わせ---------------------------
組織人事、人材育成、組織開発などに関するご相談は、人材研究所までご一報ください。
株式会社 人材研究所

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