返報性と一貫性による無意識のバイアス

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返報性による心理バイアス

前回、「意識的に与えた情報は批判的に捉えられるため、口説かない口説きを実践することが重要である」と述べてきました。そして、そうした口説きを実践する上で「無意識」のバイアスが大切になってきます。

そして、無意識のバイアスのひとつに返報性という心理バイアスがあります。返報性とは、人から何か(贈物、頼み事、招待など)をしてもらった場合に、そのお返しをする義務があると思うことを示しています。この心理バイアスを使って、採用活動を円滑に進めることができます。

例えば、採用したいと思った学生だからといって何度も会ってしまうと、色々な用事を済ませてしまって次に会うための口実がなくなってしまいます。そこでネタの1つとして学生に頼みごとをするというのが有効的になってきます。例えば、興味を持った学生に対して「懇親会を開催しようと考えているから、申し訳ないけど周囲の友達を集めてくれないかな」とお願いをすることです。すると、人事担当者は学生に対して「申し訳ない、ありがとう」という感情が働くので、「お礼に飲みに連れていくよ」と自然に学生と接触するための大義名分を作ることができます。

返報性の応用

返報性による心理バイアスを活用した、ドア・イン・ザ・フェイス・テクニックという譲歩誘導法というものもあります。これは交渉の妥結点よりも、あえてハードルの高いことを最初に要求することを指しています。例えば、既にいくつか内定を持っている学生に対して最初に「今、全ての内定先企業に辞退の電話を入れてほしい」と要求をします。しかし、それに対して大概の学生は「全部は辞退できません」と返答します。そこで、「では、うちの会社と比べて内定を受けたいと思う会社を1社に絞ってほしい」と発言します。すると、はじめから交渉の妥結点を提案するよりも、最初に厳しい要求を挟んだ上で妥結点を提案する方が、承諾される可能性が上がります。

また、内定者だけでなく辞退者も大事にする必要があります。なぜなら、辞退者は企業に対して必ず負い目を感じています。そのため、何か自分にできることがあれば補償してあげたいと考えています。したがって、辞退者に対して「自分の周りにいる人や後輩を紹介してくれないか」とお願いをすると、頑張って紹介してくれるケースが多いです。これらも返報性の変形と言うことができます。

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