選考プロセスの6つの要素

内定辞退率とは
前回までに、選考プロセスの構成要素は
①内定率(内定者/受験者)
②内定辞退率(内定辞退者/内定者)
③途中辞退率(途中辞退者総数/受験者)
④書類通過率(書類選考通過者/提出者)
⑤筆記通過率(筆記試験通過者/受検者)
⑥面接通過率(面接通過者/受検者)
以上、6つに分類することができると述べてきました。
前回までは①内定率に関する話を述べたので、②内定辞退率の話から進めていきたいと思います。
内定辞退率はある程度コントロールすることが可能な数値です。なぜなら、「いい人ならば内定を出す」とすれば当然内定率は上がるからです。この一方で、「第一志望でなければ内定を出さない」とすれば内定率は下がります。つまり内定辞退率は数字ではなく、内定を出す方法によって変化します。
ただ内定出しを簡単にすることは、心理学的にあまり良くありません。なぜなら人間は軽く得たものに対して価値を見出すことができないからです。したがって優秀な人材を採用しようと考えた時は、ある程度の駆け引きが求められます。
途中辞退率とは
③途中辞退率には、最も改善の余地があると言われています。しかし、この数値を出していない企業がほとんどです。1次面接合格者に対する2次面接の辞退率が何%、2次面接合格者に対する3次面接の辞退率が何%といった、それぞれのプロセスにおける数値は出しています。しかし、全ての途中辞退率が何%か求める会社が少ないです。
全体を通じた途中辞退率が10%に留まる企業はほとんどありませんが、途中辞退率は約30%の企業が多いです。
では、途中辞退率を下げる為にはどうすれば良いでしょうか。まず企業が注目する点は内定辞退の数値です。この数値が占める割合は辞退者の中で最も大きくなっています。そのため改善することができれば、辞退率を低くする上で大きな効果を発揮します。しかし、内定辞退は運やタイミングの要素が強いので明確に対処することができません。
その一方で、途中辞退率は選考スピードを速くすることで対処できます。なぜなら選考スピードを速くすることで、候補者に辞退する暇を与えないためです。
例えば、途中辞退率が10%に留まるR社は1万人の受験者を10日間で初期面接します。10日間で1万人の面接をするので、1日当たり1000人と面接する必要があります。1日当たりの面接時間が5枠あったと仮定すると、1枠で200人。1枠で200人ということは、1対4の面接を50部屋で並行して進める必要があります。非常に大変な作業ですが、採用はスピードが命です。特に分不相応の採用をする際、優秀な辞退者層を減少させる為にスピードは必須条件です。
初期選考は遅くとも2週間以内で終わらせる必要があるでしょう。そして内定を出すまでの期間が約1カ月であれば、比較的速い選考スピードと言えます。1カ月半では普通、2カ月では遅いといったイメージです。この選考期間をできるだけ縮めることが重要です。